MEKE3コラム

2021.02.25

これも新しい発想、CMYK用前処理剤(後編)

CMYK用前処理剤の開発目標は4つ。

・濃色ボディのシロ引き色目に合うこと
・線際をにじまなようにハッキリシャープに表現すること
・洗濯の耐久性が良いこと
・前処理での風合いを変えず、変色が無いこと

 

対策できれば、表現力アップによる品質向上、シロインクのコストダウンが見込める。何より、色目を合わせたり、濃淡色の品位、色目違いに頭を悩ませること無く、試作する時間や手間も無くなります。

当初は、ポリエステル淡色用の前処理剤をベースに開発を進めてみました。プリント上がりは綺麗で、簡単に完成したと思い、洗ってみると極端な脱落!表面の毛羽が立って白くなってしまいました。それに仕上がりの色も濃色プリントの色目に合いません。なぜ色目が変わるのか?

 

CMYKのカプセルインクの表現について、考えてみると、プリントの表現はカプセルインクが打ち出された点の集まりであり、この打ち出される点の大きさや密度により色の濃淡を表現し、多色に見せています。

シロ引きの上なら、素直に打ち出されたインクが綺麗に配列されますが、綿の生地の上では、沈み込んだりして綺麗に配列されることはありません。イエローなどの薄い色は少し沈み込むだけで見えにくくなります。

これをベースに違う角度からアプローチしてみると、いい結果が出ました。後は薬品の選定と配合比率の試験です。結構、微妙な配合で違いが出ましたが、洗濯耐久性や風合いを含め良いものが完成しました。

 

以下、サイズの大きな写真をアップします。
・前処理をしたプリントとプリントのみとの比較写真
・前処理をしたプリントと濃色用ウエット前処理した濃色プリントとの比較写真